【導入者向け】学校の体育館にエアコンを導入するメリット/デメリット

体育館 設備

夏の体育館で活動する際熱中症予防は欠かせません。特に体育館は熱気がこもりやすく、熱中症にかかるリスクが高い場所です。

そのため、体育館の熱中症対策・予防としてエアコンの設置を検討している学校も多いのではないでしょうか。今回はエアコンを学校に導入したいと検討している方に向けたメリット/デメリットを紹介していきます。

これから学校の体育館にエアコン導入を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

学校の体育館でのエアコン設置率とは?

公立学校の普通教室や体育館等の冷房設備設置率が、小学校・中学校・特別支援学校、幼稚園等が95.7%、高等学校が94.1%あることが、文部科学省の2022年9月28日に公表した調査結果より明らかになっています。

特に体育館等においては、全保有数3万5,437室のうち空調設備を設置しているのは5,422室で設置率は15.3%でした。全国的にみて設置率は15%程度と低いですが、教室のエアコン設置率が90%を上回っていることから、体育館でのエアコン設置率もこれから上がっていくことが予想されます。

学校の体育館にエアコンを設置するメリット・デメリットとは?

体育館にエアコンを設置する学校が増えていることが分かりました。では、学校の体育館にエアコンを設置するメリット・デメリットは何かを紹介していきましょう。

体育館にエアコンを設置するメリット

体育館にエアコンを設置するメリットとして、熱中症対策が挙げられます。学校での熱中症は部活動が多く、体育館にエアコンを設置することで、屋内の部活動の熱中症対策になります。

また、災害時避難所として使われる体育館で熱中症のリスクが高くなることもあります。避難所として提供するのであれば、安全な環境作りで二次被害のないようエアコンの設置をするのはいいことでしょう。空調がしっかりしているだけでも避難している方々の気持ちが違います。

体育館にエアコンを設置するデメリット

体育館にエアコンを設置するデメリットとして、費用が大きいことが挙げられます。体育館は広い面積と、広大な空間もあるので設置費用やランニングコストは必要になるでしょう。

エアコンの設置だけでも数千万円のコストが出てしまいます。ただ、高額な設置費用を抑えるためにリース契約ができる業者を選ぶこともできます。しかし、安い買い物ではないのでしっかり検討を重ねることも大切でしょう。

また、公立で体育館にエアコンの設置を考える場合、教育委員会から地方議会を通さないといけないので、導入までに時間が掛かるケースもあります。時代の流れで体育館のエアコンは検討されてはいますが、やはり時間が掛かることは念頭に置くべきですね。

学校の体育館に設置するエアコンの種類とは?

体育館のように大きな空間の空調をするためには、高い機能と出力があるエアコンを設置しなければいけません。もちろん、家庭用のエアコンとは異なる仕様や設計なので種類はしっかり把握しておくようにしましょう。

体育館に設置されるエアコンは業務用エアコンが多く様々な種類がありますが、おすすめは「エアハンドリングユニット」と「設備用パッケージエアコン」の2つになります。ここでは、2つのエアコンを紹介します。

エアハンドリングユニット

エアハンドリングユニットは、主に大空間の空調を目的としたエアコンです。体育館以外にも病院や工場、ビルなどでも使用されています。

仕様は、巨大な室内機を建物の屋上などに設置し、室内機で作られた冷・温風をダクトから室内に送り込むようになっています。建物の規模に合わせるので、基本的にオーダーメイドで作られます。

エアハンドリングユニットを設置するメリット

  • 空調機器の設置場所をまとめることができる
  • メンテナンスが簡単
  • 風量を調整できる
  • 送風機の数を変更できる

屋上や外壁沿いの一点に集中して空調機器を設置できるうえ、シンプルな作りでメンテナンスが簡単、かつまとめてできるというメリットもあります。

また、バドミントンのように風が影響する競技においては、吹出や吸込をしないようにもできるため、競技進行を邪魔しません。エアハンドリングユニットは外の空気を部屋に送っているため、送風機の数を減らすことも可能です。

エアハンドリングユニット設置のデメリット

  • 価格が高い
  • 故障すると全体の空調が不可能になる

デメリットは「価格が高い」ことと「ユニットの故障で全体の空調が不可能になる」ことです。

オーダーメイドで作られるので導入価格が高く、ユニットが故障すると施設全体の空調ができなくなるため、バックアップなども検討する必要があります。

設備用パッケージエアコン

設備用パッケージエアコンは、工場やホールなど広い空間で利用されるエアコンです。エアハンドリングユニットとの違いは既製品であることです。

その分、工事も小規模にすることができ、コストも比較的安価に抑えやすい特徴があります。

設備用パッケージエアコンを設置するメリット

  • 既製品なので工事が最小限で済む
  • 比較的安価に抑えやすい
  • 送風の調節が可能

工事も最小限で済ませられるうえ、エアハンと比べると安価でコストを抑えやすくなっています。

また、ダクトの吹出口位置などが変更可能で送風の調節ができるため、風の影響を受ける競技でも使用に問題ありません。

設備用パッケージエアコン設置のデメリット

  • 形状が少ない

設備用パッケージエアコンは一般的な業務用エアコンとは異なり、形状の選択肢があまりありません。主に床置きタイプか天吊りタイプの2つから選びます。

学校の体育館へのエアコンの導入手順とは?

エアコン導入に関するメリットデメリットなども理解していただけたと思いますが、次は導入手順はどうやっておこなうのかということを説明していきます。

体育館空調の導入・更新を実施するための事業手順は、

  • 現状把握・課題の整理抽出
  • 空調システムの選択
  • 事業手法の選択
  • 事業者選定支援
  • 設計/施工の進捗管理

以上、5つの工程で進めることができます。

・現状の把握課題の整理と抽出

全国の空調設備の設置状況を把握する。品質・コスト・入札契約方式・発注者体制・事業者選定及びスケジュールなどの課題整理、優先課題の抽出を行う。

・空調システムの選択

各空調システムのライフサイクルコスト・環境負荷・メンテナンス性・施工性・信頼性・インフラへの影響を比較し、空調システムを総合評価により選択する。

・事業手法の選択

直営方式、PFI方式及びリース方式など各方式の事業手法のスケジュール、品質、発注者体制、事業者選定について比較し、事業手法を総合評価により選択する

・事業者選定支援

選択した事業方式に適した募集要項・要求水準書・選定基準書等を整備し、入札実施後は、総合的に評価し事業者を決定する。

・設計/施工の進捗管理

各学校の設計/施工状況をレポートし、プロジェクトの進捗状況を報告します。

このように学校の体育館へのエアコンの導入手順を組んでいきます。さらに詳しい内容などは、各地方自治体でご相談ください。

エアコン以外での代替方法とは?

工場や大きな施設で使われている空調設備を体育館のエアコンの代替方法として紹介します。天井が高く全体的に広さがあるような施設には移動式・可動式エアコンがおすすめです。3つのポイントを紹介しましょう。

  • 手間のかかる工事が不要

移動式・可動式エアコンの最も大きな特徴は一般的なエアコンと違い工事がいらないことです。本体のプラグをコンセントに繋ぐだけで使用できるので他の空調設備と比べても導入台数を少なくできるメリットがあります。

  • スポットで効果的に風が届く

大規模なエアコンは、全体を冷やすことが求められます。しかし、移動式・可動式エアコンなら人が集まる場所をピンポイントに冷やす・暖めることができるため、無駄なく効率の良い稼働を実現することができます。

  • メンテナンスが比較的簡単

一般的なエアコンは定期的なフィルター掃除が必要となりますが、移動式・可動式エアコンの中にはフィルターがついていない機種も存在します。

効果的でメンテナンスは簡単というのは代替で使うには便利です。

以上のようなメリットがあるので、体育館のエアコンの代替方法として移動式・可動式エアコンはおすすめです。   

まとめ

今回は、学校の体育館でのエアコンの設置について紹介してきました。エアコンの導入には、申請から実際に設置するまで時間と費用がかかることもわかりました。しかし、行政も体育館のエアコン設置には前向きであることから、これからどんどん体育館へのエアコン設置は増えていくでしょう。

また、代替ができる移動式・可動式エアコンなどをうまく活用することもおすすめです。ぜひ、体育館のエアコン導入を検討の方も今回の記事を参考に検討してみてください。